BSカップリング

特長

BSカップリングは、バレルスプリング(樽形コイルバネ)をエレメントに使用した弾性カップリングです。特性としては、衝撃トルクに対して緩衝性と捩り振動の減衰に優れており、トルク伝達と軸芯調整を同時に行います。
また、バレルスプリングの特性により、他の金属バネカップリングにない、ダンピング作用を併せ持つ特性があり、従来のカップリングでは不可能と思われた用途への使用を可能としました。

 

bs_coupling_01

用途

・製鉄機械
・プラント
・製紙機械
・ミキサー
・粉砕器
・各種ポンプ
・その他あらゆる分野の一般産業機械

BSカップリングの形式

NSL 標準形

NSL-S シールドタイプ

DNSL ドライブシャフト形

NFL 標準形

NFLU ユニット形

U BSユニット

UF フランジ形

特殊型
① 油漏れ防止板付
② 竪型
③ ストッパーピン型
④ スリーブ分割型
⑤ 絶縁型
⑥ 中間軸型
⑦ スペーサー型
⑧ ブレーキドラム型
⑨ ブレーキディスク型
⑩ 特殊用途型
detail_linker

特徴

緩衝作用

バレルスプリングの変形により衝撃トルクを緩衝します。標準カップリングで弾性ねじれ角が生じますので、ギヤカップリング・ディスクカップリングなどの固定カップリングに対し、ピークトルクを60~70%に緩衝します。

 

ダンピング作用

バレルスプリングの素線間摩擦により、ねじり振動を早期に減衰させます。固定カップリングに対し、減衰時間を40~60%に低減させます。

 

フレキシブル性

BSカップリングは、軸芯調整(偏芯・偏角・軸方向)が1個のカップリングで調整可能です。

 

メンテナンス性

BSカップリングは、取付時に給脂を行うと1年間程度のグリース交換が不要です。粉塵や水、蒸気の多い箇所で使用する際は、シールド型をお勧めします。

 

容易な芯出し

基準面がフランジ形状となっていますので、芯出し作業が容易に行えます。

 

容易な分解・組立が可能(BS-UFシリーズ)

BS-UFシリーズは、弾性ユニットとソリッドフランジに分かれており、弾性ユニットが簡単に取り外しが可能です。

BSカップリングの構造

NSLシリーズ

bs_coupling_03_01
(1) BSスリーブ
(2) BSハブ
(3) BSフランジ
(4) バレルスプリング
(5) BSボルトピン
(6) 1種ナット
(7) バネ座金

NFLシリーズ

bs_coupling_03_02
(1) BSスリーブ
(2) BSハブ
(3) BSフランジ
(4) バレルスプリング
(5) BSピン
(6) リーマボルト
(7) 1種ナット
(8) バネ座金

Uシリーズ

bs_coupling_03_03
(1) BSスリーブA
(2) BSスリーブB
(3) BSスリーブC
(4) バレルスプリング
(5) BSピン
(6) リーマボルト
(7) 1種ナット
(8) バネ座金
(9) O-リング

BSカップリングの軸心調整作用

BSカップリングは完全な軸心調整が可能なフレキシブルカップリングです。バレルスプリングの組み込みより回転方向に対する弾性作用に加えて、バネ軸に対して直角方向の弾性作用が働きますので、すべての軸心調整(偏心/偏角/軸方向)が可能です。
さらに、カップリング回転中の軸方向振動はバレルスプリングの圧縮・伸縮により早急に減衰させることが出来ます。

 

bs_coupling_04_01
bs_coupling_04_02
bs_coupling_04_03

バレルスプリングの特性

バレルスプリングのバネ特性は非線形バネの定数を有し、他の金属バネにない、軸芯調整・トルク伝達を同時に行う特性を有しています。(金属バネとしては、重ね板バネと同じ特性を有しています。)
BSカップリングは弾性エレメントとして、バレルスプリングを使用することで、BSカップリング単体で軸芯調整とトルク伝達を行うことができます。
bs_coupling_05_01

bs_coupling_05_02

 

1. BSカップリングは、固定カップリング(ギヤカップリング及びディスクカップリング)に対し、ピークトルクの60~70%の値にショックをやわらげることができます。

 

2. BSカップリングは、図に示す様に固定カップリングの半分の時間でねじり振動を減衰することができます。

 

 

bs_coupling_06_01

BSカップリング組立手順

1. 軸への取付

まず、取付方向を確認し、スリーブを軸に入れハブを軸にはめ込みます。フランジも同様な方法で取付ます。

 

2. 機器の据付

機器を所定の位置へ設置する前に、ハブのスプリング取付穴とフランジとの合わせ面に、グリースを塗り込んだ後に、機器を定められた位置に据付けます。

 

3. カップリングの芯出し

「BSカップリングの芯出し要領」に従い、ダイヤルゲージにて芯出しを行います。(芯出し精度は、カップリングの寿命に影響しますので、芯出しは正確に行って下さい。)

 

4. バレルスプリングの取付

まず、BSハブとBSフランジの穴位置を合わせ、BSボルトピンをBSフランジ側より挿入します。BSボルトピンにバレルスプリングを挿入し、ハブの穴にバレルスプリングが収まるように取付ます。(BSハブ,BSフランジ.バレルスプリングの取付部分にグリースを十分に充填のこと)

 

5. BSスリーブの取付

スリーブの取付穴にBSボルトピンが挿入するように取付ます。その後、六角ナットを取付、所定のトルクにて締め付けます。締め付け後、ボルトの緩みのないことを確認して、作業は終了です。

BSカップリングの芯出し要領

NSLシリーズ 標準タイプ

芯出し作業はBSスリーブを右側に移動させ、BSピン・バレルスプリングをBSスリーブより抜き取り、BSフランジを自由に回転出来るようにし、BSハブのフランジ外周部よりダイヤルゲージにて、芯出しを行ってください。
その後、バレルスプリングおよびBSボルトピンを取付、BSスリーブを合わせ、六角ボルトにて固定してください。

 

Uシリーズ フランジ型

BSユニットを取付ずに両側の固定フランジの外周部をダイヤルゲージにて芯出ししてください。その後、BSユニットを取付ます。取り付ける際に固定用フランジ外周とBSユニットの外周を合わせながら、六角穴付きボルトで締め付けてください。

bs_coupling_07_01

BSカップリングの芯出し推奨値

一般産業機械における、1800min-1以下の場合、下記値を参考と致します。

 

NSLシリーズ 標準型の標準値

bs_coupling_08_01
bs_coupling_08_02

DNSL型(ドライブシャフト型)の芯出し算出

DNSL型の平行誤差は、下記により算出してください。
σ=L×0.00087
bs_coupling_09_01

BSカップリングの選定方法

伝達容量から形式を選定する方法

原動機の常用トルクに、使用条件の負荷係数(K)を乗じて、カップリングに必要な伝達トルクが算出されます。この伝達トルクを満たす型式を寸法表より求めます。(選定の際、使用可能な軸径の考慮が必要です。)
bs_coupling_10_01

 

負荷係数(K)について

負荷係数(K)は、定格トルク(常用トルク)に対するピークトルクの負荷率のことで、下表を参考に決定して下さい。一般には、駆動側からの負荷率は300%以下の場合がほとんどで、衝撃トルクの場合は、駆動側からの負荷率は300~500%の場合が多いようです。
例外的に1000%に達する場合もありますので、決定する際には、負荷側の影響を慎重に考慮して下さい。

推奨潤滑剤

推奨潤滑剤としては、極圧添加剤入りのJISK2220集中給油用グリース4種2号相当グリースを使用してください。

 

メーカー 推薦潤滑剤(グリース)
出光興産 ダフニーエポネックス EP No.2
昭和シェル石油 シェル・アルバニア EP グリース No.2
JX日鉱日石エネルギー エピノック グリース AP No.2
コスモ石油ルブリカンツ コスモ グリース ダイナマックス EP No.2
エクソンモービル モービラックス EP No.2
九州ハセック ハセック カップリング 純正グリース
JIS規格 JIS K2220 集中給油グリース4種2号
bs_coupling_11_01

 

 

潤滑剤の交換時期

潤滑剤は、1年ごとに交換を行って下さい。
但し最高回転付近で使用される場合は、潤滑剤の早めの交換をお勧めします。

導入事例

【導入事例】をご覧下さい。
また下記のバナーよりお問合せ・カタログ請求を行えます。